約20年ほど前、平成5年頃のとある晩に、
ふらりと入ったレンタルビデオショップで、
題名に惹かれて「灰とダイヤモンド」という映画を借りました。
それまでもヨーロッパ映画はノワール時代のフランスやイタリアものを
よく観ていましたが、まったく印象の異なる映像と衝撃でした。
詳しい内容はリンクにゆずるとして、
今でもありありと思い出すのはアンジェイ・ワイダ監督の独特な映像美の中で、
主人公マチェクを演じたズビグニェフ・チブルスキーと
そして恋人のクリスティナ(エバ・クジジェフスカ)との美しくも悲しい恋物語が、
圧倒的に激烈な戦争中を背景に描かれていたことです。
その中でマチェクとクリスチーナが雨宿りのために飛び込んだ、
教会の墓碑名に刻まれていた弔詩が忘れられません。
~ 松明のごとくわれの身より火花の飛び散るとき
われ知らずや、わが身を焦がしつつ自由の身となれるを
もてるものは失わるべきさだめにあるを
残るはただ灰と、嵐のごとく深淵におちゆく混迷のみなるを
永遠の勝利の暁に、灰の底深く
燦然たるダイヤモンドの残らんことを ~
チプリアン・カミユ・ノルヴィッド「舞台裏にて」
20年ぶりに観たら今度はどんな風に心が揺れるのでしょう、
少し怖い気もします。
あの頃のように素直な心の目で観れるかどうか自信がありませんが、
過日の読書と同じく自分の感受性を晒してみるのもいいかもしれません。


